現在作られているイミゴンゴのほとんどは
水性ペイントでの色付けになっていますが
1800年代前半に作り始められたころから1990年前後までは、自然由来の顔料を使用し着色をおこなっていました
伝統色とされているものは
白・黒・赤・灰色 (黄色を含む工房もあり)
今回は「白」の伝統色に迫ります
かつて白の顔料が取れていたイミゴンゴ工房近くの一角は
すでにこの色を見つけることができなくなっているとのことで
工房からバスとバイクで約8時間離れたところに行ってみました
なんとなくのエリア(港区や三鷹市くらいざっくり)の手がかりだけがありとりあえずバスに乗り、そのエリアのメインバス停で下車
バス停に到着するとバイクタクシーの運転手さんがわーっと寄ってきます
「どこにいくんだ?」
「俺のバイクで行こう!」
「こっちのバイクへ!」
と口々に声をかけてくれます
「いや、実はどこに行くか決まってない」
と言うと
「なんだ?何探してるのか?」
「あの、、白い土を探してて、、、」
こんな曖昧な言葉を出しても
「あー!俺知ってる!」
「俺も知ってる!うちの近くだ」
「家族がいるエリアだよ、このバイクに乗りなさい」
と自信満々に答えてくれます
本当に探している白い土なのかどうかは分かりませんが
この溢れる自信にこちらでの生活を助けてもらうこともしばしば
たどり着いた先が結局違ったとしてもその道中に別の発見があったりするので
大船を見つけて「よし!あなたの自信についていく!」と乗っかることが楽しい日々です
バス停から約30分走って山道に入ったところで止まり
「ここからは歩いて行こう」という運転手さんについて行きました
「あ、多分これがあった方がいい」
と、近くの民家に立ち寄りサラッと鍬を借りてくる運ちゃん
「え?知り合いなの?」
「知らない」
15分ほど歩くと日干しレンガとブロックを製造するエリアが見えてきました
ルワンダ南部 Kagwaというエリアです
ここで働いている方に挨拶をし、白い土を探している旨を伝えると顎を上げて頷き
ぬかるみをひょいひょいサンダルで歩いて連れて行ってくれたのがこちら
確かに白い
工房の作り手さんたちに判断してもらうため、かけらをいくつか頂戴しました
「もう一箇所ある」
とさらに小道を歩いて連れて行ったもらった場所がこちら
現場には数人の男性がいてのんびり休憩をしている最中でした
先程借りた鍬が大活躍
運転手さんと休憩中の男性がワイワイ言いながらかわりばんこに土を掘り出すと出てきたのは
こってり粘土質の白い土
先程の白とは色味が全く違います
色味の確認で腕に塗ってみると思ったよりもベージュ
しかし炎天下、数秒たつと一気に白に変わってきました
しばらく粘土の塊を触っているとはっきりと現れた白
かつて顔料で使われていた白い土を探している、という話を現場にいた男性たちにすると
「あのエリアはもう行ったのか?」
と別の場所を紹介してもらい、バイクタクシーに乗ってさらに約45分
それにしてもこの情報網にはいつも驚かされます
おそらくバイクで走るような場所じゃないよな、とおもう道(小川にじゃぶじゃぶ入ったり)を進み到着したのはこちら
Mugashingeと呼ばれるエリア
「白い土」というワードだけでここまで連れて行ってくれるバイクタクシーの運転手さんのマルチプレイヤーぶりに助けられ
分からなくなったら通りすがりの人にちょっと聞くとみんな教えてくれる(合っていても少し違っていても)いつもながらのルワンダ連携プレーで無事に土に辿り着きました
このエリアにいらした方に許可をいただき、一欠片のチョーク室の土をサンプルでいただきました
後日、イミゴンゴ工房の作り手さんに現物を確認していただくと、粘土質の土がかつての顔料(ingwa y’umweru)だったことが発覚
当時はもっともっと真っ白な粘土が取れたそうです
話している中で、今回訪問した場所とは別の地名が候補地として出てきたので
次回はさらに白い土を探してみます
(調査:masako kato)