imigongo anywhereの活動を見守ってくださりありがとうございます。
代表の加藤雅子(かとうまさこ)です。
イミゴンゴの調査活動を開始してからはじめて日本に戻らなかった2021年。
行き来するには少し高めのハードルがあったり、人を一箇所に集める行為(展示会)のタイミングを読むのが難しかったりとその理由は様々ありますが、どっぷりとルワンダに腰を据えることできたのは幸いでもありました。
ルワンダ国内でも都市を跨ぐ移動が制限された期間もあり、さらにオンライン大活躍の一年。
手段が増えていくことで見えなかった世界を見せてくれた世界にも感謝申し上げます。
2021年のimigongo anywhereの活動のダイジェストをまとめました。
<imigongo anywhereって何?>
アフリカ・ルワンダの伝統アートのひとつである「イミゴンゴ」を調査し解釈する活動です。
代表の加藤がルワンダの空港に着いた瞬間、壁に描かれていた特徴的な幾何学模様に出会ってしまい、取り憑かれたことに端を発します。
その幾何学模様こそがイミゴンゴでした。
好きすぎて近寄れない期間を経ていざ調べ始めると、まとまった資料も少なく先行研究も見当たらず、人々の間でうっすら知られいてはいるけれどこれが一体なんなのか深掘りされている形跡が見つかりませんでした。
これがイミゴンゴと呼ばれていることは分かるけれど、イミゴンゴがなんなのかは掴みきれない。
ぼんやりしたその感じがより興味をそそりました。
記録に残っていなくとも、より起源に近づいていけばきっと何かがあるだろうと発祥地と関わり始めたのが2019年。
そこからイミゴンゴの歴史、由来、柄の名前や意味、背景にあった王国のこと、作り始めた人のこと、作り手さんと暮らしやリズムを共にしながら、その存在に耳を傾けています。
日本のあちこちで容易に手に入る類の作品ではないイミゴンゴですが、現在はルワンダで最も活動歴の長い工房さんと協働し、より伝統的なイミゴンゴのご注文も承っております。
年始にイミゴンゴ工房へ訪問(首都からバスとバイクで約5時間)。
2020年10月11月に神戸・東京三宿・下妻で開催したイミゴンゴ展のご報告に。
その後、首都キガリでロックダウン発令。
許可証がないと家から出られない日々が続きました。
イミゴンゴ工房の作り手さんが使うのはルワンダ語のみ。スマホはないので、通話のみ。いつも工房に行く際には通訳さんに入ってもらっていましたが、このときは顔が見えない状態でルワンダ語を話す良き訓練期間になりました。もっと芯まで理解したい。
神戸みらい塾さんでオンライン・ルワンダツアーを開催しました。街中を歩きながら中継し、お店に訪問して売っているのもを一緒に見たり、ルワンダの方とおはなしをする時間です。
子どもたちから寄せられる質問がおもしろすぎて虜に。あぁ、そんな視点でこの街を見たことなかったよ、とほくほくしたお時間でした。
下旬には「イミゴンゴ工房の内装がとんでもないことになっている」というぼやけた写真が送られてきたけれど都市間移動は禁止だったので、訪問できずにそわそわ。
イミゴンゴ工房の内装がより伝統的なスタイルに生まれ変わりました。
元々壁に直接柄を施していましたが、近年では持ち運びができるようにと木板に作るようになっていました。
そんな中で「かつての姿を現したい」と壁一面のイミゴンゴが復活。
作り手さん3人の力作です。
before
after
NHKの番組「世界はほしいモノにあふれてる」にイミゴンゴが登場。
番組内で使われた動画と写真、資料の提供をさせていただきました。
制作スタッフさんの情熱に感化された月でした。
日本アフリカ現代美術協会さまと共催で「ルワンダアートツアー」を開催。
オンラインでのツアーがまたひとつ開けたのを感じた会です。
包装に関する新たな試みに奔走。プリント屋さんに依頼し、リボンにロゴを印刷してもらうがなかなか思い通りにいかず。
こちらが思う「できている」の範囲と、あちらの思う「できている」の範囲の違いがとても興味深かったです。
「igicungaを買ってきてほしい」というご要望を工房の作り手さんから受けて、どうやら伝統的な器の一種らしいという情報のみを頼りに街で探すも誰も知らず。
写真を見せても「知らない」「見たことない」
古いモノだと一般には知られていなこともあるよな、と思いながらあまりに見つからないので結局自作。
ミルクを入れるツボに香りのいい煙を満たすために使う香炉のようなものです。近くに陶器職人さんがいてよかった。
日本の企業さまで、イミゴンゴやルワンダの文化についておはなしをさせていただく機会をいくつかいただきました。
また、ルワンダ国内居住者の工房訪問もゆるやかに再開しました。
人類学者さんの主催する会でイミゴンゴについておはなしさせていただく機会をいただきました(限定公開)
そういう視点で文化を見ることもできるのか!と読みたい本が一気に増えた月でした。
博多阪急さんにてポップアップを開催いたしました。
店内を歩いていると画面越しに突然はなしかけられるリモート接客も実施。博多のワンフロアにルワンダのライブ中継をお届けしました。
博多阪急の担当者さんの感じが良すぎて、店頭に並べるものをこういう熱量で見つけていくんだと心に響いた月でした。
国際便・梱包剥がされ事件発生。セキュリティチェックと称してルワンダから発送した荷物はルワンダの空港で全開封されます。開封するのはいいんですが、再包装はなかなかおこなっていただけず、、、しかもそこに立ち入れず。緩衝材が全て剥がされボロボロのイミゴンゴがどっさり日本に届きました。「壊れないようにする」の認識の違いをどうすり合わせていこうかと考えるきっかけになっています。
神戸みらい塾さんと夏の国際社会科見学を開催いたしました。
一日目はイミゴンゴ工房とつないで作り手さんとおはなしを。二日目はバナナの樹皮から紙を作る工房とつないで紙漉きの様子を見学。みらい塾さんの現場には本物のイミゴンゴも本物のバナナの紙もあったので、画面を見ながら手元で触りながら、この触っているものを作った方とおはなししながら行き来の体験をしました。
長年パリ大学で教鞭をとっていたルワンダの歴史家さんとの出会いがあり、ここから調査がさらに深まっていきます。
飾れるイミゴンゴノートをリリースいたしました。
本物のイミゴンゴを迎えるにはサイズが大きすぎる、今のおうちのインテリアと方向性が違う、もっと手軽にイミゴンゴを感じたい、というお声をいただき、飾れるタイプのノートをお作りしました。神戸に拠点を置くスラカフェさんとのコラボです。
表紙を切り離してお好きな額に入れることができます。
打ち合わせの際に「紙のことなら大体なんでもできます」とおっしゃっていたのがとってもカッコよかったです。
イミゴンゴの発祥地、ギサカ王国に関する資料にアクセスできてほくほくした月。ギサカ王国全体の歴史について書いてありますが、やはりイミゴンゴに関しては記載なし。おもしろくなってきました。
そして日本のお客さまがイミゴンゴ製作体験に来てくださいました。作り手さんとお客さまがおはなししている姿を見るのがやっぱり好きだな、と腹落ちしていきます。
オンラインイミゴンゴ展 imigongo scrollを開催いたしました。
読む、聞く、眺めるの三種類、しっくりくる方法でご参加いただける構成にしてみました。
ギャラリーなどで開催していたときには叶わなかったルワンダの工房と繋ぐバーチャル在廊も実施。作り手さんと直接おはなしできる場を設けられて、今後の形を考えるきっかけになりました。
また、九州の高校さんに向けてオンライン修学旅行も開催しました。行けなくなってしまった一生に一度の旅をどう作ろうか、気が引き締まる月でした。
サントリーウェルネスさま主催のグッドエイジングスクールにて、オンライン イミゴンゴツアーを開催いたしました。(日本アフリカ現代美術協会さま共催)
また、工房へお客さまお迎えしたり、一年の労をねぎらう集会を開催したりと、賑わいの月でした。
2022年は実会場での展示会にて、イミゴンゴに触れていただく機会を作ることを目指しています。
どんなにこじんまりでもこの作品の空気感をお届けしたい。
はっとするような、惑わされるような、ぐーっと迫ってくるような、問われるような、昔から伝わってきた柄たちの前で是非対話をお楽しみください。
時期や場所が決まりましたらこちらのウェブサイトや各種SNSにてお知らせいたします。
いつもご関心を寄せてくださりどうもありがとうございます。
今後ともimigongo anywhereをどうぞよろしくお願いします。
instagram
https://www.instagram.com/imigongo_anywhere/
2022.1.7