イミゴンゴの色彩 【黄】 – 自然顔料を巡る旅

現在作られているイミゴンゴのほとんどは
水性ペイントでの色付けになっていますが
1800年代前半に作り始められたころから1990年前後までは、自然由来の顔料を使用し着色をおこなっていました

伝統色とされているものは
白・黒・赤・灰色  (黄色を含む工房もあり)

今回は「黄色」の伝統色に迫ります

向かったのはNyarubuyeにあるイミゴンゴ工房からバイクタクシーで約30分

 

途中目を引く切り立つ岩山が現れました

「あれにまつわる話を知ってるか?」

言い伝えの残る丘

そう言ってバイクタクシーの運転手さんと、同行してくれた仲間が教えてくれたのは昔のおはなし

 

現ウガンダ領に存在していたBunyoro(ブニョロ)王国との戦いがあったときのこと
Bunyoroの人々は夜中にこの丘の上に追い詰められてしまい、まさに八方塞がり状態に陥っていました

進んだら崖
戻ったら敵

この絶体絶命の状態で、一か八か崖から飛び降りた人がいました

かなりの高さがあることは知っている
飛び降りたあいつは大丈夫だったのか…

丘の上に残された仲間は恐る恐る丘の下に向かって

「おーい」

と声をかけると

「…おーい」

と返ってきた

 

「わ!生きている!大丈夫だ!」
「そちらに行ったら助かるかもしれない!」

仲間に続けと次々飛び降りた言い伝えのある場所

 

この返ってきた「おーい」はやまびこで
先陣を切った方は実は助かっておらず
後に続いた方々も全員が亡くなった、という言い伝えが残っています


Bunyoroの人=Banyoro がルワンダに消えたということで
この丘の名前はRwabanyoroと呼ばれています

 

そんな岩山を通り過ぎてしばらく行くと

湖

湖が見えてきました

浮かぶ島々を横目に過ぎて

到着したのはこちら

Karugwengeriというエリアです

Karugwengeriの土

かなり掘られた形跡があります

近くの人に聞いてみると、今も住居の壁の塗料として使われているとのこと

(確認できている中で)現存する最古のイミゴンゴに黄色は見当たらなかったので
どんな色か検討がついていませんでしたが
土を見る限り、黄色というよりはクリーム色

穴に入ってみます

 

Karugwengeriの土

Karugwengeriの土

触ってみると粒子の細かいほろほろと崩れるタイプの土

何かに似ているなぁとおもっていましたが

きなこでした

イミゴンゴの黄色の原料

(こういうお菓子、ありましたよね?)

 


この土を砕いて水と混ぜ、塗料として使います
膠のようなものは特に混ぜません

 

複数のイミゴンゴ工房にて聞き取り調査を行っていますが
伝統色に黄色を含める工房と含めない工房があります

他の伝統色、白・黒・赤・灰色は共通してどの工房も伝統色だと述べているので
この唯一の黄色の揺らぎが何に由来するものなのか、引き続き調査を進めています

 

どんなにすさまじいガタガタ道でも、小川に遮られていても、木が倒れていても
ちゃんと目的地まで連れて行ってくれるバイクタクシーの運転手さんには毎度感謝が尽きません

 

ルワンダ 赤土の道

調査は続きます

(調査:masako kato)

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